犬の学習
「ああ、また!ここはトイレじゃないの!いい?トイレはあっちよ!わかった?」
イメージ犬が粗相をした後に、どれほど熱心にこんな説明をしても、もちろんトイレの失敗はなくなりません。
犬にトイレを教えるには、トイレの場所で排泄をさせ、その場ですぐにほめるのが一番確実です。
要するに、犬のしつけは現在進行形。まさにドンピシャリのタイミング、つまり犬の行動と同時に、その場で、その行動が良いor悪いと、犬に伝えなければいけないのです。
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人と犬とのスーパーな架け橋「GOOD!」の効果
「GOOD!」は、人と犬との一番大切な共通語。――人の言葉がわからない犬に、「キミが今やっていることは正しい、キミはいい子だよ」と、確実に伝える合図です。
「GOOD!」イメージ学習心理学の用語では、「GOOD!」を“二次性強化子”といいます。強化子というのは、ある行動の頻度を高める働きをするもの、つまり、その行動を頻繁にするようにさせる“報酬(ごほうび)”の働きをもつものです。強化子には“一次性強化子”と“二次性強化子”があって、例えば食べ物のように、教えなくても生まれつき強化子の働きをもつものを“一次性強化子”、それに対して「GOOD!」のように、最初は意味がなかったものが、学習によって強化子の働きをもつようになったものを“二次性強化子”といいます。
「GOOD!」の働きをよく理解し、タイミングよく使いこなせるようになると、ごく普通の家庭でのしつけはもちろん、アジリティのような競技や、犬にドアを開けさせる、物を指定した場所まで運ばせる・・なんてことも、教えられるようになります。


あっといーずの教室や訪問レッスンでは、犬の習性に沿った管理のしかたや、「GOOD!」を使って犬に合図を教える方法を、飼い主さんにお教えしています。
犬は楽しいことが大好き!楽しい方が学習も進みます。ゲーム感覚で、犬とのコミュニケーションをもっと楽しみましょう!
「GOOD!」を使って教えられること
日常に役立つことやマナー
犬のしつけは、よくあるオスワリ・フセ・待て・・・だけではありません。その他に、こんなことも教えられます。
アイコンタクト、人の顔を見ること目は心の窓。コミュニケーションの第一歩は、まず相手に注意を払うこと。アイコンタクトを教えておくことによって、つねに飼い主に注意を払い、指示を待てる犬になります。
ワンツー(トイレ)、排泄の合図犬と暮らす時、トイレは最初にして最大の問題!トイレの場所(シート)で排泄するように条件づけるのはもちろんですが、さらに「ワンツー」の合図で排泄するように教えておくと、人が排泄のタイミングをコントロールできて、失敗を防ぐのにも役立ちます。
オフ「それに触らないで」の合図「オフ」と言えば、大好きなオモチャやおやつが目の前に転がっても、勝手に取らないようになりますお散歩中に、近づいて欲しくない場所や物を避けるのにも使えますよ。
ハウスクレートやサークルに入る合図犬を無理やり押しこまなくても、「ハウス」の合図で自分から入ってくれると、とても便利です。逆に無理やり押しこむことを繰り返していると、ハウスが嫌いになってしまうこともあります。扉を開けていても、「出ておいで」の合図があるまでハウスで待機しているように教えることもできます。
リラックス飼い主にかまってもらえない時に、飼い主の足元や所定の場所で、ふせて静かに待機していること。お散歩中の立ち話の間、また獣医さんやドッグカフェで、犬が静かに待っていてくれると、ちょっと自慢できますね。
ハンドターゲット人の手の動きについて動くこと、犬を自分のそばで歩かせたい時や、場所を移動させたい時に便利です。また手の動きを使って、ターンや足くぐりなどの芸も教えられます。
引っ張らずに歩く引っ張らないで散歩ができたらどんなにいいか・・そう思いますよね?“引っ張らずに歩く”ということは、つまり、リードが緩んだ状態で歩くということ。この状態を「GOOD!」でほめてあげることによって、飼い主の近くを上手に歩けるようになります。
出して口に入れている物(食べ物)を出す合図「出して」ができると、ボール投げやひっぱりっこで、犬と遊ぶことができます。また、犬が口に入れた物を無理に取り上げようとして咬まれることもあるので、必ず犬に教えておきたい合図です。
セルフコントロール(自制心)ドアが開いたからといって飛び出さない、オモチャを見たとたんに喰らいついたりしない・・・こういうことが、「待て」の指示なしでできるように、自分の行動を自制することを犬に教えます。自制心を養うと、むやみに興奮せず、落ち着いて人の指示を待てる犬になります。

その他:効率的に慣らす
足拭き(足洗い)、ブラシ、爪切り、耳掃除、歯磨き・・など、毎日の体の手入れは、押さえつけて無理やりやるのではなく、少しずつ慣らしてできるようにしていくものです。通常、慣らすには時間がかかりますが、逆条件付けの手法(※)を使ってほめながら慣らしていくと、ただ慣らすより早く、抵抗も少なく慣らすことができます。その時、トレーニングでポジティブなイメージを獲得した二次性強化子「GOOD!」を、フードなどポジティブな刺激を補うものとして使うことができます。
※ ネガティブな刺激とフードなどポジティブな刺激を組み合わせることによって、ネガティブな刺激をポジティブに変えていく手法
同じ方法で対応できるケースの例
- 人の手に対して抵抗がある犬
- 体に触れられたり、抱っこされたりするのが好きではない犬
- 人や犬、車など特定のものを怖がる犬
- 人や犬に対して興奮しすぎる犬
- 知らない場所に行くと不安でビクビクしてしまう犬
苦手なこと、怖いものが多いと、日々の生活が苦痛だったり、世界が狭められてしまったりします。効率的な社会化トレーニングで、快適で豊かな毎日を送りましょう!
人の手に対して抵抗がある犬、体に触れられたり抱っこされたりするのが好きではない犬も、同じ方法で人とのスキンシップに慣らすことができます。
人や犬が怖い、または人や犬に対して興奮しすぎる、知らない場所に行くと不安でビクビクしてしまうなど、気質面の問題にも、「GOOD!」を利用して対応することができます。

犬の大好きな遊び
犬はとても遊び好きな生き物。どの犬も、教えれば遊べるようになります。一緒に遊ぶことができると、犬との関係がぐっと深まります。よくあるボール投げやひっぱりっこのほかに、こんな遊びもあります。
宝探し犬に「待て」をさせておき、その間に、部屋の中のいろいろな場所に、犬の大好きなオモチャやおやつを隠します。「探して」の合図で犬に探させると、犬は大喜びで、鼻や目を使って一生懸命さがします。室内でもできるので、散歩にいけない日のストレス解消に最適!
かくれんぼ宝探しの人バージョン。犬に「待て」をさせておき、その間に、人がソファーの裏やカーテンの陰などに隠れます。犬を呼び、犬が隠れている人を見つけたら、その人が出てきてごほうびに犬と遊んであげます。気分は災害救助犬!?

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