年をとっても、しつけはできます。
何歳になっても、犬は学習します。 ただし、子犬の方が学習が速く、何も習慣がついていない白紙の状態なので、しつけやすいのは事実です。 年を取った犬の場合、すでに問題となる行動が根深く定着している可能性が高く、それを消去するには時間も手間もかかるし、 忍耐もいりますから、やはり子犬のうちにしつけをするのが理想的ですが、 もう成犬だからといって、しつけをあきらめる必要はありません。
いいえ。そうなるのは、フードの使い方が誤っているからです。
フードは単なる道具にすぎず、フードを使って犬に教えているのはルールと、 そのルールを誰が決めているか、です。ルールまたはルールを決めている人と、 ごほうびとしてもらったフードの関係がきちんと理解させられていないと、フードがないと従わない犬になってしまいます。 ルール(人)とごほうびの関係を犬に理解させるのに重要な働きをするのが、 “二次性強化子”「GOOD!」です。正しい二次性強化子の使い方を、しつけ教室で学んでください。
かわいそうではありません。
犬は、狭くて暗いところが案外好きなものです。(土の中の巣穴にすんでいた頃のなごりなのかもしれません)。 クレートを“檻”と呼ぶ人もいますが、そうではなく、クレートやサークルは、 犬が安心できる自分だけの空間、いわば“犬のお部屋”なのです。 クレートに慣れた犬の場合、扉を開けたままにしていると勝手に中に入って寝ていたり、 特別おいしいおやつをもらった時は、誰にも邪魔されないようクレートの中に持ち込んだりします。 また、クレートやサークルをうまく使うことで、トイレの失敗やイタズラを防いだり、 目を離せない子犬の時期には、危険から犬を守ることもできます。
※ただし、あまりにも長時間閉じ込めっぱなしにするのは、お薦めできません。
絶対に必要ではありません。
もちろん仲のいい犬友達がいたら、それはとても素敵なことですが、 犬はどんな犬とでも仲良くできなくてはいけない・・なんてことはありません。 人に個性があるように、犬にも個性があり、相性もあります。 社交的でどんな犬とでも遊べる犬もいれば、シャイな犬や怖がりの犬もいるのです。 犬種によって、遊び方にも違いがあります。 自分の犬の個性を理解して、決して無理強いしないようにしましょう。
犬の食事が人の食事の前でも問題ありません。
上位の者が先に食べる・・というのは、狼の群れで一つの獲物を分け合う時の話です。 食事環境がまったく違う人と犬では、順序がどうでも、大して影響ありません。 それよりも重要なのは、食事を与える時にきちんとマナーを守らせているかどうか、です。
これと同じように、「ソファーに乗せてはいけない」「ひざに乗せてはいけない」「一緒に寝てはいけない」など、 よく耳にする通説の多くが狼の群の順位制をもとにした考え方ですが、 狼の群と現在の犬では生活環境が大きく違いますから、狼の群の話がそのまま犬に当てはまるわけではありません。
大切なのは、――必要に応じて指示でソファーやベッドから下ろすことができるか、 ひざに上がりたがる犬を指示で待機させられるか、――それぞれの場面で、 必要なコントロールができるかどうか、なのです。犬に対するリーダーシップとは、 決して権威や力の誇示などではなく、個々のコントロールの結果として、信頼という形で築かれるべきものです。
※既にうなる、咬むなどの問題が出ている犬は、ひざに乗せたり、一緒に寝たりしない方がいいでしょう。
危険なので止めましょう!
これも狼に由来する説で、実際に犬が相手に服従を示す時、こういった姿勢をとることがあります。 ただし、重要なポイントは、犬が自分から服従の姿勢をとったこと! 無理やり形だけ真似させても、犬が本当に心から服従するとは限りません。 さらに、犬に反撃されると、嫌なことをされそうになったら咬むという、最悪の行動パターンを覚えさせてしまうことにもなりかねません。 同じように、マズル(犬の鼻)をつかんで振る方法も、お薦めできません。
くどいようですが、犬に対するリーダーシップとは、権威や力の誇示などではなく、 個々のコントロールの結果として、信頼という形で築かれるべきものです。
衛生的にも、しつけの観点からも、食事をずっと置きっぱなしにしておくのは、お勧めできません。
15分ほど置いて食べなければ、片付けてしまいましょう。 食べないから・・と、心配して置きっぱなしにすると、いつでも食べられる状態なので、ますます偏食を助長してしまいます。 食事が“いつ”“だれから”与えられているのか、犬にしっかり認識させるためにも、置きっぱなしは止めましょう。
いいえ。
食事と運動のコントロールをきちんとすれば、避妊・去勢が原因で太ったりはしません。最近、肥満傾向の犬が多いのは、甘やかして人間の食べ物を与えてしまったり、一度に与えるおやつの量が多かったりすることが大きく影響しているように思えます。とくに人の食べ物は、脂肪分を多く含んでいたり、味がついていたりするので、犬に与えるのはおすすめできません。
※下記の食べ物は、体調を崩す恐れがあるので、絶対に犬に与えてはいけません。
タマネギ、ネギ類、海老・タコ、イカなど、ぶどう、チョコレート
いいえ。犬に罪悪感はありません。
犬は過去と現在を結びつけて考えることが、人間ほど得意ではありません。 また、人間のような善悪の観念も持ち合わせていません。 留守中にイタズラをした犬が、人が帰ってきた時、申し訳なさそうな顔をしてコソコソしているように見えるのは、 人の反応を読み、これから起こること=人が怒り出すことを予測して、何とかそれを避けようと身を縮めているのだと思われます。また、しばしば言われるように「犬が人をバカにする」ということもありません。犬は、優れた状況判断力を駆使して、自分に害が及ばず、できれば有利にことが運ぶように行動しているだけです。感情的にならず、冷静に犬の行動を観察して判断できるようになりましょう。
犬がしっぽを振っているからといって、必ずしも喜んで歓迎しているとは限りません。
犬は、警戒しているときにも、しっぽを振ることがあります。 また、しっぽの振り方にも、ピンと上にあげて小刻みに振っていたり、 斜め下にさげてゆらゆら大きく振っていたり、いろいろあります。 しっぽだけでなく、顔の表情や全身のボディランゲージからも犬の感情は読み取れますので、犬をよーく観察してください。
昔から巷で言われてきた、いわゆる“通説”には、まったく科学的根拠のない誤りも含まれています。 鵜呑みにしないで、きちんと自分で判断できるようになりましょう。